章あらすじ


◇第一章[ひと握りの勇気]◇

 ネイル国の騎士長マルクス=レンシンクの娘・メロウは、フランセの収穫祭でひょんなことから警察局の女性・ルナンと知り合う。熱狂する祭りの中、人生ではじめての友人となったルナンとの時間を、メロウは目一杯楽しんだ。
 やがてメロウはルナンを自邸へと招く。そこにいたマルクスと相対したルナンは、ネイル・サガン・グリッグランドの和平会談で起きた惨劇、現在の三国間の戦争を招いた事件について話す。そして戦争反対派の矢面に立たされ命を狙われているマルクスに、警察局から支援の意志があることを伝える。マルクスは、騎士長という身分の高い自分を前にして落ち着き払った彼女のふるまいに感心し、それを受け入れることにした。
 ルナンと別れたあと、メロウは父マルクスと自分の進路のことについて言い争ってしまう。町で人形屋をやりたいという希望への無理解を感じ父の前から逃げた彼女をなぐさめたのは、マルクス邸の警備隊長を務めているファルだった。
 娘を身分のある職につかせて戦争から遠ざけたいマルクスは、うまくいかない娘との関係に悩む。警備のために雇い入れた異能の魔道師ボダ=ハからメロウとファルの会話を聞いた彼は、ファルにも意見を聞き、しだいにメロウへの態度を変えてみようかと思うようになる。
 一方、町では暗殺稼業に身をおく男・ガルマが、マルクス邸に侵入する算段を立てていた。マルクスとその家族の暗殺。それが、彼の所属する暗殺ギルドが彼に与えた命令だった。夜になって、アメジストの瞳をもつもうひとりの暗殺者・リースリングとともに、彼は作戦を実行に移す――。
(第一章1から10まで)

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◇第ニ章[ヴェルタ村の災厄]◇
 ヴェルタ村に訪れた災厄。それは、村に接するグレアムの森に巣食った盗賊団「グレアムの兄弟」が、村への略奪を企てていることだった。村の警備隊「鉄剣団」の団長・ダグラス=エシアンは盗賊団にスパイを送り情報の収集を図りながら、鉄剣団員で二人の息子の父親であるアラウンらとともに、村を守るための算段を立てていた。
 一方、「グレアムの兄弟」の首領であるハーン=ラチェットは、百名近くにまでふくらんだ盗賊団の次なる目標として、鉄剣団のいるヴェルタ村を掲げた。意気軒昂するゴロツキたち。そこへ突然現れたのは、およそ暗く危険な森には似合わない黒髪の女だった。ハーンは盗賊団で最も体が大きく腕のたつ男・ラスターを女に向かわせるが、返り討ちにあう。それをみたハーンは、「青い蛇」について彼に尋ねてくるそのリースリングと名乗る女に対し、ヴェルタ村での略奪に協力することを条件に情報を提供すると告げる。
 盗賊団のスパイとして潜入していたデュデックにより、ヴェルタ村に盗賊団襲撃の報が伝えられる。ダグラスやアラウン、村長らが集まって作戦会議をたてる。一方、「グレアムの兄弟」も夜のうちにヴェルタ村の近くまで移動する。
 そして、ヴェルタ村の「鉄剣団」と「グレアムの兄弟」の争いの火ぶたが切って落とされた。二人の幼い子どもの姿を隠しながら――。
(第二章1から7まで)

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◇第三章[ガダルカの戦い]◇
 サガン国の都市ガダルカ。国境にあるこの街へ、以前から他の地域でも争いの絶えなかったネイルの軍隊がついに攻め込んできた。
 広い谷間の中央に位置するガダルカには、谷をふさぐ形で『鉄の壁』という鉄製の城壁が築かれていた。この壁を、魔法を使った特殊な兵器で打ち破る計画がネイル軍にあることを知ったベル王弟をはじめとするガダルカの軍部は、打って出るか援軍が来るまで籠城するかの選択を迫られていた。
 そんな中、表敬訪問に訪れていた魔道立国ミコールの大導師フェルトールは、サガン国王ファルヴァン四世から、ネイルの特殊兵器の発動を魔法で封じ込めるよう要請を受け、連れてきていた双子の魔道師ウェイン、ウェラとともにガダルカにとどまることになった。そこに現れたのは、ウェインらとともにミコールの魔法学院を卒業し、いまはガダルカで侍女として働いていたリュールだった。ひさしぶりの再会を喜ぶウェインたち。だがフェルトールの占いで、リュールが付いている鉱山局長のモスカートに、ガダルカを危機に陥れる不吉な相が出ていることが分かる。ウェインはそのことをリュールに伝えるが、彼女はどこか悩みを押し隠すような様子をウェインに何度もみせる。
 それと前後して、リュールは同僚のバーベナに、モスカートがガダルカの郊外で怪しい男と何度も話している姿を見た、モスカートはガダルカを裏切ってネイル側に城内の情報をもらしているのだと告げられていた。モスカートを一緒に告発しようと誘われるリュール。だがそのとき、彼女はバーベナに対し、思いがけない行動をとる。
 一方ネイル軍には、ベル王弟とフェルトールの暗殺を依頼された殺し屋たち四人――男勝りの言葉で気の強い女暗殺者ミラ、理知的なエルフのトリッケン、少し臆病だが常識人のマクギガン、そして、リースリングの姿があった。彼らはモスカートの案内で地下道を通り、ガダルカに侵入する計画を着々と進めていた。
 双方の、そしてさまざま人間の思惑が交差する中、サガンとネイルの戦いが切って落とされようとしている――。
(第三章(前編)1から7まで)





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