死神と女神の狭間 第一章  

創作こぼればなし




【創作こぼればなし 第一章18】


 あらあら。ここは死女狭のエア・ポケット、創作こぼればなしですのよ。
 このページに入ったら、ふりだしに戻らなくてはいけないわ。
 もう少しで第一章の最後だったのに、かわいそうにねえ。
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 ●キャラクターは書きながらつくる

 登場人物の性格や趣味、信条といったものは、いったいどのようにして決めているか。僕の場合はいつも、文章を書きながら形にしている。

 たとえば、メロウ。書く前は「騎士長の一人娘」「歳のわりに子供っぽくやや感情的」というくらいの設定しかしていなかった。それが、書いている間に人形マニアもとい人形好きな少女になっていた。テキヤのくだりで人形を出すことははじめから決めていたのだが、部屋を人形でいっぱいにしたり、ひとりで人形に話しかけることを趣味にしていることなどは書いている中で自然発生したものだ。自分でも変わったものを設定したなと思うのだが、それでメロウが文句を言わなかったのだから、そうしてしまった。

 物書きをされている方の中には、書き始める前にキャラクターの性格や信念はもちろん、容姿やしぐさ、癖、好きな食べもの、きらいな生きものまで細かく決める方もおられるみたいだ。実際、個性的なキャラづくりをしようと思うと、その人物の一挙手一投足まで描ききれるよう、詳細な設定が必要なのだろう。「スピンオフ映画」というものがメディアでちらほら見られるが、そのキャラ単独で物語がひとつできるくらいほりさげて書く、というのはキャラづくりのひとつの代表的な手法であるような、さらには小説の書き方のひとつの手法でもあるような気がする。

 僕はそれができない。

 いちおう、プロットを書く前にがんばって人物設定を考えるのだが、細かく決めてもいざ本文を書いていくと、話の流れでキャラの設定を少しずつ変えたくなるときがどんどん出てくる。そうすると、細かく決めたことが逆に苦しくなってくるのである。

 キャラ優先か、ストーリー優先か、という二極化した考え方に基づけば、僕の場合はストーリー優先ということになるのかもしれない。でも僕自身にはそうした意識はない。本文を書きながら、キャラをだんだん形にしていく。それが一番書きやすいというだけのことである。

 そしてこれがうまくいくと、キャラが僕に話しかけてくれるようになる。

 文章を書いていてこの先どうするべきが悩んでいるとき、登場人物がどうするべきが僕に意見をくれるのである。リースリング嬢から「こんなこと私しない」と言われるときもあるし、ガルマさんから「俺ならこうするけどなあ」と水を差されるときもある。メロウに死んでもらうと決めたときには相当抵抗があった。「わたし、クビ?」と涙ながらに。そんな彼らのアドバイスをもとに、さらに話を練り直して書き進めるのである。完全に妄想だと思う。

 だが妄想だとしても、キャラクターが勝手に立ち回って話をつくってくれるならそれにこしたことはないと思うし、そうしたときの文章の進み具合はことのほか良い。迷ったときは、自分の中のキャラに聞け。これがいまの僕の書き方である。他の人にもおすすめ……したいとは言わないでおこう。



 
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