死神と女神の狭間 第四章  

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 下の階で起きていることなどなにも知らないまま、ベル王弟と軍師トゥーレは王の間で漫然とくつろいでいた。
 鉄の壁が破られなかった以上、ガダルカが攻め込まれる可能性はかぎりなくゼロに近い。ベル王弟は心配を解消し、トゥーレは悩みから解放されたことにより、二人とも安心しきった表情で城の最上階にいた。
「ベル王弟。いろいろとさわぎたてましたが、結局のところ鉄の壁が破られないことには、やつらは何もできないということが改めて証明されたことになりますな」
「そうだな。わかりきっていたことだ。ネイル軍がどのように攻勢をしかけても無駄だということをこれで理解してくれると、こちらも楽になるのだがな」
「まったく、おおせのとおりで」
 二人が声を上げてせせら笑う。もう戦争などとうの昔に終わった話だとでもいうように、王弟と軍師はおだやかな気分になっていた。
 王の間には二人以外に、見張りの兵士が配置されているのみだった。だがこんなところにまで敵軍が攻め込んでくる可能性は皆無であると、ベルもトゥーレも考えていた。唯一ひっかかっていたのは、物見の塔への侵入者がフェルトールを殺害したという伝えをノガンから受けたことだが、それもまもなく捕えられるだろうと二人はたいした根拠もなく信じ込んでいた。むしろ、隣国の重鎮が自分の城で殺されたことへの事後処理をどうするか、その心配ばかりしているのが現実だった。
「王弟、ミコールへの対応はどうなさいますか。ミコール国内でも随一の権力者であるフェルトール殿がわが国で亡くなられたとなると、それ相応の対処が必要かと存じますが」
「軍師。いまそのややこしい話はよいではないか。だいたい、こちらが呼んだわけでもないのに勝手に表敬訪問などと称してやってきて、しかも自ら城とは別の塔に居住をかまえたのだから、こちらの責任は最小限であるはずだと思うがな。よく知らぬ魔道師のことなど置いておいて、いまは勝利の余韻にひたろうではないか」
「そうですな。失礼しました」
 うやうやしく頭を下げるトゥーレ。その前で、ベル王弟は窓の外に広がる鉄の壁、さらにその先に見えるネイル軍の様子を、ゆうゆうとながめおろしていた。
 きっといまごろやつらは破れなかった鉄の壁の前で、右往左往しているのだろう。自分たちの名誉を守るために、なんとか変形させた壁から突破口をつくろうと、躍起になっているのだろう。だが無駄なあがきだ。それほどの時間を待たずに、やつらはあきらめて退散するに違いない。その時点で、こちらの勝利は確定するのだ。
 トゥーレはベル王弟が考えているに違いない勝利への確信を感じていた。自分も全く同じ気持ちであり、それ以外の可能性は無いに等しいと考えていた。たとえ物見の塔へ侵入してきた者たちがこの王の間を目指したとしても、しょせんは数人。塔と城では守備にかけている人員が違う。ここまでたどりつくことはまずないだろう。彼はそう考え、ゆるみきった気分で王弟と勝利の実感を共有していた。
 だがそんな「勝利の余韻」は、飛び込んできた伝令兵によってあっさりと破られた。
 王の間の大きな扉が開くと、外からひとりの兵士がかけこんできた。あわてた様子で、その兵士は王弟と軍師の眼前でひざまずく。
「王弟、一大事でございます!」
「なんだ。ネイル軍が鉄の壁を突破でもしてきたか?」
 冗談半分で答えるトゥーレ。だが息を切らせた兵士の顔は、切迫さがあらわになっていた。
「侵入者が……この王の間に向かっています! もうすぐそこまで……」
 兵士の言葉に、王弟もトゥーレも一瞬、息をとめた。
「……いまなんと言った?」
「城へ侵入してきた者が、鉄兵隊の守備網を突破し、この最上階まで迫っています。もうまもなく、ここまでたどり着くと思われます!」
 王弟とトゥーレが顔を見合わせる。あまりに突然おとずれた身の危険に、二人は事実の確認をおこなうので精いっぱいだった。
「……ど、どういうことだ、軍師。侵入者はたかだか数名なのだろう?」
 血相を変えた王弟の声に、トゥーレもただ絶句した。
「私にもわかりません……鉄兵隊をもってしても止められなかったというのは……。おい、それは本当なのか? いったい侵入者は何人いるのだ? わずか数人ていどの敵に、鉄兵隊が破られるはずがなかろう?」
「わかりません……。ただ、一人が先行して間近にせまっているのは確かです――時間がありません。早くお逃げください!」
 まさかたったひとりの侵入者に鉄兵隊の守備網が破られたなどとは想像だにせず、王弟と軍師は再び顔を見合わせた。だが弱り果てながらも極度に焦りを込めた口調で云う兵士の言葉に、二人はようやく事の重大さを感じ、浮き足立ちながら王の間の奥へ移動した。そこには、最上階の王の間から地上へ一気に下りることのできる直通の外階段があった。
 トゥーレは幕に隠されたその入り口の扉の鍵を急いであけると、外をうかがってから階段へおりた。王弟もあわてた様子で、自分の居所であるはずだった最高権力者の部屋からあっさり逃れていく。最後に、後ろから伝令にきていた兵士が扉を閉めると、三人は城の裏側にのびる長い階段を全力で駆け下りていった。
 ついさきほどまで愉悦にひたっていたとは思えないほど、彼らの状況は一変していた。
 なれない運動に息を切らせ、足をふらつかせながら、王弟とトゥーレはなんとか五階から一階まで下りてきた。ふだん使うことがなくほこりがかった鉄製の扉の鍵を、トゥーレは焦りと緊張とでふるえながらはずしていく。後ろから追っ手がこないかという不安に背中をつつかれながら、三重の鍵で厳重に閉じられた扉をなんとかあけると、三人はすぐ横にある小屋に向かった。そこには緊急時に王弟が逃走するための馬車がつないであった。
 鉄の壁が破られなかったことにより暇をもてあましそうだと思っていた馬の従者は、いきなりやってきた王弟と軍師の姿に驚きの表情を隠せなかった。
「ど、どうされましたか? まさか、ネイル軍が鉄の壁をのりこえてきたのですか?」
「そうではない。王弟の命をねらって、どこからか城へ侵入してきた者たちがいるのだ。やつらは王の間にせまっていて……と、とにかく早くだせ!」
 二人の緊迫した表情に、従者は一も二もなく小屋の扉を開け、馬に飛び乗った。伝令を残し、後ろの車に王弟と軍師が乗るのを確かめると、彼は馬に鞭をうって走らせる。
 いまだ戦う兵士らを残してあっさりと城を捨てた二人は、ガダルカから西へ向かって逃走する。別の侵入者たちがその先で待ち構えていることなどつゆとも知らず、彼らは車の中でようやく安心した表情をみせた。











 反対に、王の間を守る門番兵の表情はかぶとの下でひきつっていた。
 鉄兵隊の囲みをなんとか突破したリースリングは、ほどなくガダルカの最上階である五階までやってきていた。
 ノガンの作戦により、大部分の鉄兵は三階に配置されていた。剣兵隊がいない以上、どうやっても城の守備には穴ができる。それなら、不完全な状態で全ての階を守るよりも、完全に守備を固めた一つの階をつくるほうが守りやすい。ノガンはそう考えたのだった。
 だが逆に要となる階以外では、守りはほとんど期待できない。三階を抜けられれば四階、五階と簡単に突破される。そんなリスクと背中合わせの守備配置だった。
 鉄兵隊は全て三階に集められており、敵がやってくる可能性の低い王の間の門番などには比較的軽装である通常の兵士が配置されていた。そのため門番兵の中では鉄の壁が崩されなかったことで今回の戦いはもう終わったも同然になっていた。王弟や軍師と同じく、もうここには敵はくるまいと、気をゆるめ切っていたのだった。ほんの少し前までは。
 伝令の兵から「侵入者がここまでやってくる」との知らせが伝えられたとき、その若い門番兵はやはり何を云われたのかすぐには理解できないでいた。だが、その侵入者が王弟の命を狙い、鉄兵隊の囲みを破ってきたのだということに気づくと、彼は急に青ざめた顔になった。
 廊下という廊下に鉄兵が配置された三階をどうやって突破したのか? 門番兵は王の間に入っていく伝令を見届けながら、身に迫った危機に体がふるえた。
 城内の守備では国内でも最高レベルの実力を有する鉄兵隊を押しのけてくるほどだ。いったいどれほどの強者なのだろう。身構えつつ、彼はなかばおびえながら、侵入者がやってくるであろう廊下の角を凝視した。
 まもなく、それはやってきた。
「侵入者だっ……」と途切れた大きな声が彼の視線の先から聞こえた。おそらく侵入者にやられたのだろう。門番兵はふるえる手で剣を抜きながら、角を曲がってくる混乱の主因を目でとらえようとした。
 黒い影のような人物が彼の視界に入る。目に入ったのは、想像よりずっと細身で、華奢な人間だった。
 さらに漆黒の長い髪を振り乱す姿で、彼は侵入者が若い女であることを知った。
 彼は混乱した。戦士ではない。魔道師にも見えない。ではなにかと問われると、なにともいえない。不思議な容ぼう。どうしてこんな軽装の人間が、屈強な男たちの守る三階を突破できたのか。彼には信じられなかった。
 深く考える間もなく、女はこちら目がけて駆けてくる。
 走り方がややぎこちない。右足だろうか、ややひきずっているようにみえる。門番兵にすればそれは当たり前だった。むしろ鉄兵隊を相手にしてその程度のケガですんでいる方が、彼には驚くべきことだった。
 彼はゆるゆると剣をふりかぶろうとした。しかしその前に、侵入者の女が右手をすばやくふるった。そこから放たれたきらめく刃が、彼の右太ももに向かう。
「うっ……!」
 まるでもとからそこにあったとでもいうように、いつのまにか門番兵の足に小型のナイフが突き刺さっていた。たちまち襲ってくる激痛に、彼はすぐひざを折る。
 顔を上げると、すぐ眼前に侵入者がいた。息を止める門番兵。だが女は、もはや戦う力を失った彼を無視して王の間の扉を開け、そのまますぐに中へ入っていく。
 王弟を守らなければ、という彼の意識は、侵入者の姿の意外さと手際のよさに、たちまちかすんでしまっていた。
 片ひざを折りながら、声も出せずたたずむ門番兵。まるで風のように過ぎ去った侵入者。全てがあまりに一瞬で、瞬間的。それこそが鉄兵隊を破った力なのかもしれないと、彼ははじめて思い至った。
 そうしているうち、再び彼の耳に近づいてくる足音が聞こえた。もう王弟を殺めたのだろうか。彼は緊張に顔を引きつらせながら、足音の方を見た。
 侵入者が門番兵のそばまで早足でやってきている。なかばぼうぜんとした表情の兵に、彼女はそのそばで立ち止まってから、冷たいアメジストの目を刺すようにむけて云った。
「……裏の隠し階段に通じる扉は、どこ」
 それは小さく、だがはっきりした声だった。
 門番兵は彼女の雰囲気に飲まれ一瞬声がだせなかった。彼女がさらに口を開く。
「扉のありかを言わないなら、痛い目にあうけど……」
 いつのまにか、彼女の右手にはまた柄のない小型のナイフがにぎられていた。門番兵はそれをみつけると冷汗をかきながら必死に声をしぼりだした。
「し、知りません。隠し階段なんて、そんなものは……」
 首をふりながら、門番兵はおびえたように訴えた。王弟や軍師から、彼は隠し階段の存在など知らされていなかった。本心から、彼は階段など知らないと云った。
 思えば、おかしな構図だった。
 なにも武装などしていないように見える女が、軽装とはいえ鉄のかぶとに鎧、剣と完全に戦うための武装を施した兵士をおどしている。
 だがこの侵入者の女は実力以前に、相手を心臓の表から裏まで刺しぬく鋭い目を向けることで、相手を威圧しくぎ付けにする術をもっていた。それが意識してなのかどうかはわからない。しかし彼女は確かに、自身の放つ冷徹な雰囲気だけで相手をしばりつけていた。
 紫色の視線に押されて後ろ手になる兵士に、侵入者はしばらく目を向けてから、小さく云った。
「……なら、いい」
 そうして女は再び王の間に入っていく。痛みを抱えているだろう右足を少しだけひきずりながら。
 門番兵はしばらくその場から動けずにいた。それは彼女の投げたナイフにより負傷した足の痛みからではなく、弛緩した精神を深く射抜かれた痛みからだった。










 ようやく王の間にたどりついた侵入者・リースリングを尻目に、王弟と軍師は先述のようにいわゆる隠し階段から地階に下り、馬車でさっさとガダルカの城を後にしていた。
 二頭の馬が引っ張る車の中で、王弟はようやく安どの表情を浮かべていた。横にいる軍師も似たような顔つきで、天幕に覆われた馬車に優雅に座っていた。
「さて、これからどうするかな、軍師よ」
 ベル王弟が他人ごとのように問いかける。軍師はしわのよった顔をゆるませながら答えた。
「そうですな。隣町にでも移動し、戦乱の収まるまで待つのが得策でしょう。あそこなら護衛兵もおりますし」
「だがあそこはガダルカの町から避難した住民らのいるところだぞ……。王弟だけが逃げてきたとあっては、住民の目が気になる」
「しかしそこ以外にこの近辺には町はありません。しばしご辛抱いただかねば」
「ううむ……しかたないな。兵士らが前線でがんばってくれているのだ。私も多少の苦痛は味わわねばなるまいか」
 苦痛の意味をまったく取り違えている王弟は、自分の言葉に満足しながら馬車の椅子に体を横たえた。
 そのときだった。
 走っていた馬が急に鳴き声とともに立ち止まった。中にいた王弟と軍師は馬車の中で前方にぶざまに転げる。
 なんとか起き上がりながら、王弟は痛そうな顔を外へ向けた。
「いつつ……なんだ、なにごとだ?」
「だ、だいじょうぶですか、王弟。……全く、こんなときにどうした!?」
 どうせ馬の操作を誤ったのだろうと軍師が馬車の中から従者に訊く。すると外から、恐怖におびえたようなふるえた声がした。
「み、道の真ん中に……大きな武器を持った女が……」
「なんだと?」
「馬の前に立って『王弟を出せ』と……」
 それから間髪いれず、今度は馬車の横からはっきりとした男の声が聞こえた。
「ベル王弟! 中にいるのはわかっています。すみやかに出てきてください」
 高貴な響きのある、だが強い調子の声に、王弟も軍師も体をびくりとさせた。
「まさか、待ち伏せされていたのか……?」
 王弟がうめくようにつぶやく。軍師も顔をしかめた。
「そうかもしれません……」
「どういうことだ、軍師! この道は絶対安全なはずではなかったのか」
「ぜ、絶対安全などとは……ですが、どこからか情報がもれていたのかもしれません」
「取り囲まれたのか? 敵は何人だ?」
「落ち着いてください、王弟。――とりあえず馬を止められた以上、外に出るしかありません。まず私が確かめてみます」
 そしてトゥーレは馬車の幕をどけ、外をうかがった。まず真正面に――つまり馬車の真横に、金髪で色白のエルフがいた。顔だけ見るとどこかの国の貴族だと云われてもさしつかえないほど、整った顔つきをしている。ネイル正規軍の幹部では、とさえ思える出で立ちだが、それにしてはあまりに軽装で、とてもその男の装備がネイル軍の正式な武装であるとは思えなかった。
 さらに馬の前をみると、そこにはたしかに大柄な女性が立ちふさがっていた。二頭の馬を前に全くひく気配をみせない、挑戦的な目を向けてくるその女は、自分の背丈以上もある長い得物を地面につきさし、それを右手一本で支えていた。この女こそ、正規軍とはかけはなれた侵入者像に――そうしたものがあるとすればだが――近いといえた。
 トゥーレはさらに見回したが、視界に入ったのはその二人だけ。明らかに彼らは、ネイル軍の雇ったプロの『仕事屋』だった。
 王弟と道連れになることは避けなければ。トゥーレはそのことだけを考えながら、具体的にどうすべきか必死に思案した。そうしているうち、目の前のエルフが声をかけてきた。
「あなたは側近ですね。王弟は奥にいらっしゃるのですか」
「おいトリッケン。そんなクソ丁寧にやらなくたって、無理やり引きずりおろした方が早いに決まってるだろ。あたしがやってやるから――」
「まあ待ってください、ミラさん。あなたがそこから動くと馬を逃がしてしまいます。――さあ、早くベル王弟を出してください」
 馬の前の女とやりとりをしてから、トリッケンと呼ばれたエルフが馬車に近づく。軍師トゥーレは馬車の中をあおいだ。王弟は自分の命を奪う短剣をのど元につきつけられたような極度に青ざめた顔で、あきらめたようにゆっくりと馬車の出口に向かっていった。
 ひげ面で顔の大きなベル王弟がはじめて馬車の外に姿をさらす。いつも堂々とした態度で兵士や住民に接するガダルカの城の主は、いまや不安と恐怖におびえた罪人同然の表情になりながら、行き場を失ったネズミのごとく馬車から力なく降り立った。
 殺されるのか。それとも生きたまま捕えられて闇の世界に放り込まれるのか。いずれにしろ、その先には閉ざされた未来しかない。ベル王弟は生殺与奪の権利を握っている目の前のエルフに、なんとか許しを請う目を向けた。だが相手にはそれを甘んじて受け入れる隙などみじんもないと、王弟は相手の冷徹な目をみて知らされた。
 絶望的な状況。王弟も軍師も完全に追いつめられ、身の保証をあきらめかけていた。
 そのときだった。
 一本の槍が、打ちひしがれた王弟とエルフの侵入者との間に投げ込まれた。
「――――!?」
 間近にいた王弟とトリッケンが、驚きの色を見せる。そこへ、威勢のいい大きな声が聞こえてきた。
「うおおおおおおおおりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
 そして声の発する方からもう一本、槍が飛び込んできた。狙いはトリッケン。
「っ!?」
 正確に自分のいた箇所に落ちてきた手槍を、トリッケンは体をそらしてかわす。王弟は何が起きているのか分からず、ただその場に体を固まらせていた。
 そこへ、馬の足音が響く。王弟は目を向けた。
 なじみのあるサガンの鎧。鉄兵隊と対をなす無駄のない騎馬用の軽武装を着込んだ若い兵士が、すでに限界をこえて口が開きっぱなしになっている馬をむりやりに働かせながら、こちら目がけて突っ込んでくる。
 疾風のような速さでやってきたその剣兵隊の兵士は、王弟とトリッケンの間に割り込むと、手綱を強く引いて馬をとめた。彼は場を制すように、勢いのある声で王弟の命を狙うエルフに向かって馬上から云った。
「剣兵隊隊長付きの一等兵、ライオネル=シュオーツァだ! 俺がこの場にきた限り、何人たりとも王弟には近づけさせねえからな!!」




 
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